ルアンパバーンの黄昏

落陽が山の稜線に消えようとする瞬間、一斉にシャッターが切られた。人の波に押されて、気付くと後ろへと追いやられていた。

振り向くとエティーン君が「ほら言ったでしょ」といった顔で笑う。

「人でいっぱいだし」というエティーン君を説得してプーシーの丘に来たのだった。

僕たちはルオンパバーンでも人手を避けて観光していた。観光客が大挙して行く「クアンシーの滝」にも行かなかった。

後でそのことを先に帰国したY君に伝えると

「焼肉屋でサラダしか食わへん奴みたいなもんやで」

ワンカルビでバイトしているY君らしいツッコミが返ってきた。

ルアンパバーンは町並みが世界遺産に登録されているだけあって、散策するだけでも充分に楽しむことができた。

夕日が映える茜色の住居群、雑然と民族品の並ぶマーケット、青臭いアボカドジュース。東南アジアに来て知ったことだが、熟したアボカドのジュースは本当に美味い。ただババを引く可能性もある。ルアンパバーンでは「ごめんなさい」をしてしまった。

竹で編まれた橋があった。雨季には流れてしまうほど脆い。観光客から集める通行料で乾季に新しい橋を架ける。雨季にはまた流される。これを繰り返しているそうだ。

その橋のたもとで僕たちはドローンを飛ばした。4000円で買ったわりにハイクオリティでプレステ2のようなコントローラーも気に入っていた。ただ軽いだけあって、めっぽう風に弱い。調子に乗って20メートルほど上げると、コントロールが利かなくなった。風に流されて、ついには川にダイブしてしまった。

僕たちは半ズボンを濡らしながら、バチャバチャと川に入ってドローンを探す。流れが早く見つからない。

諦めた時、100メートルほど下流でボートに立った半裸の現地人が叫んでいるのが見えた。僕たちに何かを伝えている。「捕ったどー」とばかりに櫂を振っている。

目を細めて彼の手元を見ると、ドロー ンが握られていた。

彼は奇怪な異邦人が飛行物で遊んで、喜んでいるのを見ていたのだろう。ドローンが川に落ちたとき、船で追いかけてくれたようだ。

「あなたが落としたのは金のドローンですか? それとも銀のドローンですか?」

お礼を言って、汚れたドローンを受けとる。見つかったのは良いが、水没している。恐らく故障した。無駄だろうが、しばらく乾かすことにした。

ドローンとスニーカーを河原に並べて、僕たちは寝転がった。飛行機が白い線を青空に残していた。春の陽が黄昏の迫る町並みに溶けていた。

僕はまだ二人の旅が続くと思っていた。

第13話 「最後の晩餐」

https://dokushoplacecom.wordpress.com/2018/04/11/ヴィエンチャンで/?preview=true

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ルアンパバーンの黄昏」への6件のフィードバック

  1. ルアンパバーンは緑が多くてバイクが少なそうですね。アジアは物価が安いので
    長期滞在出来るのが魅力です。私は人気の観光地は混んでいても必ず行きます。
    クアンシーの滝、写真で見たら綺麗な滝でしたよ。
    一つの旅が終わり帰国できてほっとするけど、またどこかへ行きたくなりますね。
    私は来月石垣島と離島へ行きます。

    1. ルアンパバーンは良いところでしたが、少し観光客が多かったです。
      また余裕ができれば、旅をしたいです。
      石垣島良いですね。いつか行ってみたいです。

  2. ルアンパバーンは蚊はいませんでしたか?ベトナムではフエのボンジュールホステルでもホーチミンのホステル、マルタでも蚊に刺されました。同室の他の人は刺されてないのに、、

  3. 時期にもよるのでしょうかね。インターネットでルアンパバーンについて読んでいたら蚊が多いから気をつけるようにという情報が多かったです。

    1. 僕は全く蚊にあいませんでした。
      観光客が多いので、必然、情報も多いのでしょうか?
      時期も良かったかもしれません(笑)

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