仙台にて

前日の夜から降り始めた雨は朝になってもポツリポツリと降っていた。郡山を出発したのは昼前だった。雨は止んだが空はどんよりと不機嫌でまたいつ感情を爆発させるか分からなかった。
郡山から福島市までは嫌になるほど上りと下りが続いた。福島から宮城の県境に向かう道はゆるい傾斜の峠だった。果樹園があって道端にも直売所が設けられていた。一つ50円の桃を食べた。キズモノだったが、そこを除けば訳もなかった。拳よりもずっと大きかった。果肉は固めだったけど、噛んだ瞬間に甘味が広がってあっという間に一つ、食べきっていた。
直売所を出て空を見上げると雲の切れ間から青空が顔を覗かせていた。スカイブルーの澄みきった空だった。
「智恵子は東京には空がないといふ」
長沼智恵子は福島の人だった。彼女が懐かしんだ故郷の空はこんな色だったのだろうか。
そこから一直線に仙台を目指した。道中、ウォークマンで久しく聞いていなかった曲を聞いた。こんな曲だったのだなと新たな気付きがあった。その日は仙台のゲストハウスに宿泊した。

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